クラス担任が教員1年目の新任の先生だと不安、という声もあります。
しかし実際には、大きなメリットがあるのも事実です。
今回は、クラス担任が新任の先生だった場合のメリット&デメリットや問題が起こった場合の対処法などをご紹介していきます。
クラス担任が新任の先生だと不安という声も
4月の新学期を迎えるにあたり、環境がガラリと変わることでさまざまな不安もあるでしょう。
特に、新しいクラスメイトや新しい担任の先生といった人間関係の悩みはつきものです。
また、児童・生徒自身だけでなく、親の立場でも「新しい担任の先生が誰になるのか」といったところは正直気になるポイントです。
そんな中、新担任の発表で若手の新任教師に当たると、不安に思う保護者の方も実際は多いようです。
クラス担任が新任の先生だった場合のデメリット
教員1年目である新任の先生がクラス担任になると、どのような問題が起こりえるのでしょうか。
まずは、「クラス担任が新任の先生だった場合のデメリット」をご紹介していきます。
- クラスがまとまらないことがある
- 問題への対処が遅くなることがある
- 他のクラスよりも権力が弱い
デメリット①クラスがまとまらないことがある
新任が担任になった際に、もっとも気がかりとなるのが「クラス運営」です。
クラスをまとめた経験がない教師が初めて運営をするクラスになるため、正直うまくまとまらないこともあります。
デメリット②問題への対処が遅くなることがある
新任の先生は、クラスでトラブルが起こった場合でも単独で対処することはほとんどありません。
後ほどご紹介しますが、教員1年目は指導教員のもとでクラスや教科指導をおこないます。
経験の浅さからいっても、上司にあたる先輩教師や指導教員、学年主任などに相談をした上で判断することが多くなるでしょう。
そのため、何か問題が起きた場合も対処が遅くなることが考えられます。
デメリット③他のクラスよりも権力が弱い
若手の先生だからこその悩みでもありますが、やはり担任同士で何か決めごとがある場合には、正直先輩教師に譲ることが多くなります。
そのため、新任が担当するクラスは必然的に権力が弱くなるのです。
もちろん、基本的にはどのクラスも平等であるべきですが、何か特別な決定がある場合には不利になる可能性があると言えるでしょう。
例えば学園祭や運動会の準備で使いたい特別教室があっても、先輩教師が担任をしているクラスと時間が被ってしまった場合は譲る、といったことが考えられます。
こうしたところで、若干損をする可能性があるかもしれません。
クラス担任が新任の先生だった場合のメリット
担任が新任だと心配、なんだが損をしていることが多い……
そんな声がある一方で、実はデメリット以上のメリットがあるのが事実です。
新任が担任になると、以下のようなメリットがありますよ。
- 落ち着いた環境で勉強ができる
- クラス内でトラブルが起こりにくい
- 問題を適切に対処してもらいやすい
- クラスが団結しやすい
- お悩み相談がしやすい
- 活気のあるクラスになりやすい
- 柔軟性がある
- 思い出に残りやすい
メリット①落ち着いた環境で勉強ができる
あまり公にはならない事実ですが、新任が担任となるクラスは「落ち着いているクラス」が選ばれることがほとんどです。
つまり、経験の浅い先生でもクラス運営がしやすいクラスなのです。
そのため、新任が担任になったら
「うちのクラスは良いクラスなんだ!」
と思っても良いでしょう。
実際、問題が起こりそうなクラスや問題行動の多い生徒が所属している運営が大変になりそうなクラスは、ベテランの先生が担任になるパターンがほとんどです。
そういった事情があるため、新任が担任するクラスなら落ち着いた環境で勉強に取り組めるといっても良いでしょう。
メリット②クラス内でトラブルが起こりにくい
先ほど解説した通り、新任が担任するクラスは学校側が選抜した「よい子の集まり」のようなクラスだったりもします。
そのため、トラブルメーカーのような生徒がいることはほとんどないでしょう。
こういった環境なので、クラスでトラブルも起こりにくくなります。
メリット③問題を適切に対処してもらいやすい
担任が新任教師だった場合、実は文部科学省のきまりにより「指導教員」が配属されています。
また、初任の教員は実践的指導力と使命感を養わせるとともに幅広い知見を得させるため、採用の日から1年間、学級や教科・科目を担当しながらの実践的研修を受けることになっています。
初任者研修
趣旨:実践的指導力と使命感を養わせるとともに幅広い知見を得させる。
対象:国公立の小学校等の教諭等のうち、新規に採用された者
実施:各都道府県、指定都市、中核市教育委員会
根拠法:教育公務員特例法第23条
引用:文部科学省|初任者研修
そのため、授業やクラス運営で何か問題があれば指導教員が必ず助言します。
こういったサポート環境があるため、万が一クラスで問題が起きたとしても、経験豊富な指導教員指示の元、適切に対処されるでしょう。
メリット④クラスが団結しやすい
新任が担任になったからこそ、
「私たちが助けてあげなくちゃ」
と生徒たちが協力的になることも多いでしょう。
なんだか頼りない先生が担任になっても、逆にそれがクラスが一致団結するきっかけになることもあります。
また、そもそもリーダーシップのある生徒を新任のクラスに1人は入れておく、というのはもはや常識。
クラス分けでは、成績をある程度考慮して分けている一方で、
- 学級委員をやってくれそうな子
- リーダーシップのある子
- ピアノの伴奏ができる子
などは同じクラスに固まりすぎないように調整する学校が多いのが事実です。
メリット⑤お悩み相談がしやすい
若手の先生だからこそ、兄弟や親戚のお兄さん・お姉さんのように親しみやすいというのもメリットの1つでしょう。
年齢が近い分、何か悩みがある場合も相談しやすいという声がありますよ。
メリット⑥活気のあるクラスになりやすい
いくつになってもパワフルな先生もいますが、やはり新任の先生が最も情熱があり、仕事にも一生懸命です。
若さもあるため、クラス自体が活気のあるクラスになりやすいというのも1つの特徴です。
新任が担任だからこそ、活気のある楽しいクラスになるかもしれません。
メリット⑦柔軟性がある
すべての先生に言えることではありませんが、若手の新任教師だからこそ「柔軟性がある」といったことも考えられるでしょう。
長く教員をやっている先生だと「これはこう」と自分の経験や指導力に自信があるからこそ、頑固で意志が固いといったデメリットもあります。
年配の先生だと、子どもたちの新しいアイディアや提案にまったく聞く耳を待たないということも考えられます。
もちろん、年齢や性別によって偏見を持つべきではありませんが、私の経験上、若手の先生の方がより柔軟に対応してくれる傾向があると言えます。
メリット⑧思い出に残りやすい
教員生活を過ごしていく中で、毎年生徒が30~40人いるクラスを担当すれば、だんだん記憶も薄れていきます。
生徒にとって高校1年生の担任は1人ですが、教師にとってはたとえ担任になった子どもでも何千人・何万人の1人に過ぎません。
「成人式で先生に話しかけたけど名前を忘れられていた」といった悲しい経験をした人もいます。
しかし、どんな先生でも担任1年目の思い出はかなり色濃く残ります。
生徒の名前やクラスでのエピソードも記憶に残りやすく、どこかでバッタリ会っても覚えてもらえている可能性が高くなりますよ。
そういった意味で、「思い出に残りやすい」というのは1つのメリットと言えるのではないでしょうか。
このように、クラス担任が新任の先生だと心配になるかもしれませんが、上記のように多くのメリットがあり、意外と悪いことでもありません。
そのため、新担任の発表で新任の先生になっても必要以上にガッカリする必要はありません。
むしろ、担任カラーが出にくいからこそ、どんなクラスになるのかワクワクしませんか?
また、保護者の方も社会人1年目の先生を温かい目で見守ってあげてみましょう。
ただし、問題が起きた場合は別です。
クラスで問題が起きた場合の対処法
そうはいっても、新任の先生がクラス担任になるとクラスで何か問題が起きた場合、ちゃんと対処してもらえるのか不安になると思います。
そこで、万が一トラブルが起きた場合の対処法を以下にまとめましたので、参考にしてみてくださいね。
クラスで問題が起きた場合の対処法
クラスで問題が起こった場合には、以下の順序で対処を試みてください。
クラスでトラブルが起きた場合は、生徒本人でも保護者の方からでも良いので、まずは担任の先生に相談してください。
保護者の方が相談する場合は、学校へ電話を掛けて担任の先生につないでもらいましょう。
担任の先生に相談したものの解決されそうもない、そんな場合にはその担任の指導教員や学年主任の先生に相談をしてください。
基本的に指導教員というのは保護者側ではわからないため、学年主任の先生に電話と取り次いでもらって相談するのが良いでしょう。
学校へ訪問して相談する場合は、担任と学年主任同席のもと、相談するとスムーズです。
学年主任に相談しても解決しない場合、基本的には教育委員会に相談するのがおすすめです。
というのも、正直校長や教頭は実際にクラスに関わることがほぼないため、相談しても無意味だからです。
各教育委員会が設置している相談窓口一覧
教育委員会に相談したい場合には、以下の一覧を参考にしてみてくださいね。