ラーケーションのメリットとデメリットをそれぞれまとめました。
全国に先駆けて愛知県で導入されたラーケーション。
利用する際には、ぜひ一度目を通してみてください。
ラーケーションとは?
ラーケーションは、学びの「ラーニング」と休みの「バケーション」を組み合わせた言葉です。
ラーケーション=
ラーニング+バケーション
家庭での主体的な学び・体験的な学びを応援するために新たに設定された制度。
保護者等の休暇に合わせて届け出をし、年に3日まで学校を休むことができます。
ラーケーションの日は、校外での自主学習活動であるため、子どもは学校に登校しなくても欠席とはならず、「出席停止・忌引等」と同じ扱いとなります。
ラーケーションのメリット
ラーケーションには、さまざまなメリットがあります。
- 親子で過ごす時間が増える
- 空いている日にテーマパークへ行ける
- 学校外での学びが増える
- 旅行に行きやすくなる
- 休むことに罪悪感を感じなくて済む
- 皆勤賞が狙いやすくなる
親子で過ごす時間が増える
子どもたちは土日祝日や夏休みなどに休みを楽しむことができますが、一方で保護者の方々は仕事が待っています。
こうした状況によって、子どもたちの休みの日と親の休みの日が合わないという家庭は少なくありません。
しかし、ラーケーションの日を活用すれば、親子で一緒に過ごす貴重な時間を作ることができます。
このような取り組みによって、親子関係が深まり、子どもたちも喜ぶことでしょう。
空いている日にテーマパークへ行ける
子どもたちの休みのタイミングに合わせて人気テーマパークへ遊びに行こうとすると、どうしても混雑してしまうことがあります。
その結果、思う存分に楽しむことが難しくなることもあります。
しかし、ラーケーションの日を活用することで、平日に訪れることができます。
こうすることで、のんびりと楽しむことができ、満足感も得られやすくなります。
学校外での学びが増える
学校内では、授業は通常一斉に進行します。
全員が同じ内容を同じ進度で学ぶ仕組みです。
しかしながら、子どもたちはそれぞれ異なる興味や関心を持っており、追求したい学びも異なります。
ラーケーションを取り入れることで、子どもたちが現在興味を持っている学習体験を提供することができます。
こうした方法によって、子どもたちの学習意欲を引き出し、自発的な学びを促進することができるでしょう。
旅行に行きやすくなる
ラーケーションの日は年に3日間という設定です。
例えば、週末の土曜日と日曜日に加えて、月曜日から水曜日をラーケーションの日に指定することで、5日間の連続休暇を実現することができます。
これによって、夏休みやゴールデンウィークなどに親子で休みが合わなかった場合でも、ラーケーションを活用して自由に連続した休暇を取ることができます。
こうした柔軟な休暇制度によって、海外旅行や遠出の国内旅行などを計画しやすくなります。
また、休日や大型連休よりも平日の方が旅行代金が安くすむといったメリットもあります。
休むことに罪悪感を感じなくて済む
これまでは、親子で休みのタイミングが合わず、平日に渋々子どもたちを学校を休ませてお出かけする家庭も存在しました。
この問題に関しては、賛否両論があり、子どもたちの学校を休ませることに罪悪感を感じる人々もいたのです。
しかし、ラーケーションの制度の導入により、学校を休ませて過ごすことが正式な休暇として認められるようになりました。
こうした制度の存在によって、親子での大切な時間を取ることに罪悪感を感じずに済むようになるでしょう。
皆勤賞が狙いやすくなる
皆勤賞を必ずしも目指す必要はないという意見がありますが、子どもたち自身が皆勤賞に興味を持つケースもあります。
以前は家庭の都合で皆勤賞を逃してしまっていた子どもたちも、ラーケーションの制度によって皆勤賞を目指すことができるようになります。
また、学校によっては皆勤賞を達成するとプレゼントがもらえる場合もあり、欠席せずに連続して学校に通えることは非常に良いことと言えるでしょう。
このようなメリットから、今後ラーケーションを導入する自治体は増えていくことが予想されます。
ラーケーションのデメリット
ラーケーションには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
- 学習が遅れる可能性がある
- 経済格差が目立つ
- ラーケーションの日を取得することができない日がある
- 私立学校には制度が導入されていない
- 授業に影響を及ぼす可能性がある
- 教員の負担が増える
学習が遅れる可能性がある
ラーケーションの日に休んだ分の学習は、各家庭で自習をすることになっています。
「ラーケーションの日」を取得することで受けられない授業の内容は、家庭で自習をします。
引用:愛知県
もちろん、授業で使用したプリントなどがある場合には、学校から後日渡すなどの配慮があります。
しかしながら、休んだ日には学校の授業を受けることができないという側面も確かに存在します。
そのため、年にわずか3日であっても学習が遅れる可能性がまったくないとは言い切れないのです。
経済格差が目立つ
ラーケーション制度が存在しても、その活用には家庭によって差が生じることがあります。
たとえば、経済的な余裕が限られている家庭は、旅行や外出に参加することが難しいため、この制度を利用することが少ない可能性が高いでしょう。
ラーケーションはどこかに出かけずに取得できるとされていますが、ただ休むだけでも、家庭によっては逆に不利益をもたらすことがあります。
例えば、学校を休むことで給食が食べられないというデメリットも考えられるのです。
「ラーケーションの日」を取得した日の給食の扱いについては、各学校のルールをご確認ください。
引用:愛知県
ラーケーションの日を取得することができない日がある
学校が「全員に出席してほしい」と考える場合には、「『ラーケーションの日』を取得することができない日(期間)」を設けることがあります。
学校によっては、行事などの教育活動のため、「ラーケーションの日を取得できない日(期間)」を設けることがあります。各学校のルールをご確認ください。
引用:愛知県
例えば運動会や学芸会など、大きな学校行事が行なわれる期間に設定される可能性があります。
そのため、「この日にラーケーションを取りたい!」と思っても、必ずしも実現するとは限りません。
私立学校には制度が導入されていない
現時点では、「ラーケーションの日」を導入している自治体でも、その対象は「県内の公立の小中学校や高校、特別支援学校に通う児童や生徒」となっています。
そのため、私立学校に通う児童・生徒はラーケーションの日を取得することができません。
例えば家族の中で私立学校に通っている子と県立学校に通っている子がいる場合は、同じ日に休んだとしても私立学校に通っている子だけが欠席扱いとなってしまいます。
授業に影響を及ぼす可能性がある
複数の生徒が同じタイミングでラーケーションを取る場合、授業に影響を及ぼす可能性があります。
極端な例を挙げれば、あるクラスで半数近い生徒が同じ日にラーケーションを利用すると、授業の進行が難しくなるかもしれません。
また、感染症などの場合、クラス内の生徒の一定割合が休むと学級閉鎖が行われることがあるかもしれませんが、ラーケーションによって生じるこのような状況に関しては、具体的な決まりが存在しない可能性があります。
教員の負担が増える
ラーケーション制度の導入により、教員の負担が増加することが考えられます。
例えば、家庭とのコミュニケーションに費やす時間が増えるだけでなく、生徒が学校を休んだ日の授業プリントをまとめたり、ラーケーションの手続きに時間を割く必要が出てくるでしょう。
ラーケーションを導入している自治体
ラーケーションは、愛知県で初めて導入されました。
その後もラーケーションを導入する自治体は増えているようです。
愛知県では、県内53市町村の公立小中高校と特別支援学校で導入されることが決定しています。
2023年9月から順次、19市町の小中学校でモデル事業が始まります。