高校数学の参考書として有名な『やさしい高校数学』は「やさしくない、わかりにくい」という口コミが目立ちます。
そこで今回は、元数学教師の私が『やさしい高校数学』について、実際に手に取った感想をお伝えします。
以下の文章は、あくまでも一個人が感じたことを綴ったものですので、その点はご了承ください。
やさしい高校数学の口コミ評価

まずは、『やさしい高校数学』を購入した人の口コミを見てみましょう。
長文の口コミは、一部内容を割愛しています。
評価の高かった口コミ
まずは、評価の高かった口コミをみてみましょう。
好き
評価 ★★★★★
これのおかげで大嫌いな数学が周りと比べたらまだまだですが理解しつつあります
今まで教科書でさえもいまいちピンとこなかったのですが、頭を整理しながら一個一個丁寧に進んでいくと確実に基礎を理解できるようになりました。
曖昧に解いていた今までの時間がもったいなく感じました。
ほんとに買ってよかった良書です!
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わかりやすい
評価 ★★★★★
数学に対して苦手意識がありましたが、とてもわかりやすく解説があり
ページにも隙間がたくさんあり書き込みがしやすいように工夫されていて使いやすいです。
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初学者には厳しいかも…
評価 ★★★★☆
中学数学には触れてはいますが、完全な初学者には向かないと思います。
私がもし、現役の高校1年生で予習を行うとしたら戸惑いがあったかもしれません。
(理解力が高い学生には良いかも。因みに私は理解力が低いです。)
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「わかりやすい」「買ってよかった」という意見もあり、なかなかの良書のようですね。
評価の低かった口コミ
その一方で、前年ながら評価の低い口コミも存在します。
以下は、表記の低かった口コミを引用したものです。
全然やさしくない
評価 ★★☆☆☆
・教科書を完全に理解している人が前提。「教科書を読んでなくても0から分かる」わけではない。初心者お断り。
・網羅系高校数学(数I・A)の参考書が軒並み1000ページを超えてる中で、この本はたったの600ページ。
・しかも会話調で無駄に行数食ってるので説明は少ない。もっと説明を増やせ。
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とってもわかりずらい
評価 ★☆☆☆☆
基礎から学びたかったが、簡単な所も難しく説明していて、さっぱり意味がわからなくなった。
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やさしいのは見た目だけ
評価 ★☆☆☆☆
テクニックを丸暗記させるような記述ばかりで、分厚いのに中身は空っぽの本だった。
何故そうなるのか理由がわからないので数学の勉強がますますキライになった。
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これらの評価からわかることは、人によって感じることは違うものの、「数学初心者には向いていない」ということです。
その理由として、評価を低くつけた人だけでなく、評価を高くつけた人までも「完全な初学者には向かない」と評価をしているからです。
それではこの本が本当にわかりにくいのか、実際に私が手に取った感想を以下に記載したいと思います。
やさしい高校数学のレベルは?

口コミは賛否両論だったものの、全体としてはAmazonレビューの評価が高い書籍でした。
そこで実際のところどうなのか、購入して検証することに。
そもそもこの書籍が扱うレベルについて、まずは解説していきたいと思います。
やさしい高校数学はセンター試験(共通テスト)レベル?
私がこの本を見てまず初めに思ったことは、
センター試験出題度が表記に出てる!
ということでした。
つまり、この本はセンター試験(現在の共通テスト)を見据えて作られています。
この時点で、正直数学が苦手な人が使うレベルの参考書ではないな、ということを感じました。
この参考書が向いている人
つまり、この参考書が向いている人は以下のような人だといえます。
- 学校の授業内容が理解できている
- 数学の学力が普通か得意レベル
- 中学校の数学ができている
この参考書が向いていない人
つまり、この参考書が向いていない人は以下のような人だといえます。
- 学校の授業内容が理解できていない
- 数学が苦手
- 中学校の数学も怪しい
やさしい高校数学は数学嫌い・苦手な人には不向き
この参考書は、公式とそれにまつわる問題の解法がよくまとまっている一冊だと思います。
イラストがある、人物の会話形式で解説が進む、参考書全体の雰囲気がやわらかめ、といったところで全体としてはやさしい印象です。
イラストや会話が多め
ただし、口コミでも指摘があるように、イラストや人物の会話がある分、内容が薄くなっている印象です。
また、問題のレベル自体は割と普通レベルなので、決して「やさしい」とは言えないのではないでしょうか。
問題のレベルは
決してやさしくない
レベル的には特別難しくはないですが、だいたい教科書と同じようなレベルになると思います。
さらに、教科書の中でもセンター試験に出る問題の部分をピックアップしている感じですね。
つまり、普段から数学の授業についていけてない人、数学が苦手な人には不向きかもしれません。
やさしい高校数学は
数学が苦手な人には不向き
この一冊は、ある程度数学の学力がある人が前提になっていると思います。
やさしい高校数学ができるとセンターで何割とれる?
そうは言っても、正直この一冊でセンター試験(共通テスト)で良い点を取るというのは厳しいです。
この参考書は、1つ1つの問題には強いですが、センター試験(共通テスト)で出題されるような複合的な問題には対応していません。
つまり、この一冊を完璧に理解し問題がすべて解けたとしても、センター試験(共通テスト)では大問の(1)や(2)までしか解くことはできないでしょう。
私個人の意見ですが、この一冊の網羅性はセンター試験で言うと3割程度にとどまると考えられます。
やさしい高校数学ができると
センターで3割程度は確保できそう
正直、共通テスト対策は問題集一冊では難しいのが事実です。
しっかりと対策をして大学受験に失敗した!と苦い思いをしないよう、今できる最大限のことを考えてみてくださいね。
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やさしい高校数学の効果的な活用法は?

さて、少しマイナスなイメージがついてしまったかもしれませんが、この参考書自体は素晴らしいものだと思います。
確かに数学が苦手な人には不向きだと思いますが、逆に言えば、数学が苦手ではない人には良書と言えるからです。
やさしい高校数学は
数学が苦手ではない人におすすめ
ある程度わかっている公式の理解度を深めるのにちょうど良い一冊と言えるでしょう。
ただし、この参考書は解説がメインで問題演習をする部分が少なすぎるため、学校の定期試験であってもこの一冊だけでは不十分です。
ほかの問題集を持っている前提で、公式の解法の確認をするための辞書として使うのが良いと思います。
やさしい高校数学は
解法の辞書として使うのがおすすめ
ただし、数学が得意な人、模試などで好成績を残している人にとっては、そもそも公式をほぼ完璧に理解していると思います。
そういった人にとっては物足りない一冊であり、不要なものかもしれませんね。
やさしい高校数学はやさしくない?わかりにくい?

やさしい高校数学がやさしいのか、やさしくないのかという議論の結論ですが、それは当然のことながら使用する人のレベルによります。
つまり、「やさしい高校数学はやさしくない?わかりにくい?」の結論は、以下の通りです。
- 数学が苦手な人
⇒やさしい高校数学は難しい - 数学が普通レベルな人
⇒やさしい高校数学は割とやさしい - 数学が得意な人
⇒やさしい高校数学はやさしい
つまり、やさしい高校数学がやさしくない、わかりにくいと感じる人は、この参考書よりもより基礎的なものを扱った方が良いと言えます。
やさしい高校数学がやさしくないと感じた人はチャート式の白本を

数学が苦手な人におすすめなのは、チャート式の白本です。
チャート式は圧倒的に解答・解説がわかりやすく丁寧なことで有名です。
実際、チャート式はほとんどの高校で使用していると思われます。
普通レベルの人であれば黄本か青本を使用しますが、白本はチャート式の中でも一番レベルが低く設定されています。
そのため、学校の定期テストでもあまり良い成績を残せていないという人にもおすすめできます。
やさしい高校数学がやさしくないと感じた人は、『チャート式 基礎と演習』(白本)を試してみてくださいね。
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