中学数学や高校数学で習う因数分解には、置き換えが必要となる場面があります。
そこで今回は、置き換えで因数分解する際のコツと具体例をまとめました。
共通テストや大学の二次試験にも対応できるレベルの内容となっています。
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因数分解における置き換えのコツとは?
因数分解をする問題には、数々のパターンが存在します。
その中でも苦戦しがちなのが「置き換え」を使った方法です。
しかし、コツさえわかってしまえば意外と簡単なもの。
まずは、因数分解における置き換えのコツとなるポイントを押さえておきましょう。
- 置き換えで解く基本の流れを知っておく
- 置き換えする式を上手に見つける
【重要】 - 置き換えするために同じものを作り出す
【重要】 - 因数分解の公式をちゃんと暗記しておく
この4つのポイントさえ押さえられれば、置き換えも怖くありません!
それでは早速、それぞれのポイントについて解説していきましょう。
置き換えのコツ①置き換えで解く基本の流れを知っておく
まず大切なのは、置き換えを使ってどうやって因数分解ができるようになるのか、基本の流れを知っておくことです。
以下の流れに沿って解いていけば置き換えを使った因数分解ができるようになりますよ。
ここでは、$$(2x+1)^2-4(2x+1)+4$$という式の因数分解を例にみていきましょう。
繰り返し出てくる文字式を見つける
置き換えによる因数分解の基本は、繰り返し出てくる文字式を発見することから始まります。
今回繰り返し出てくる文字式は$$2x+1$$です。
同じ文字式をAなどに置き換える
同じ文字式は、Aなどの文字に置き換えます。
$$2x+1=Aとおくと$$
$$(2x+1)^2-4(2x+1)+4=A^2-4A+4$$
になります。
公式などを使って因数分解をする
中学で習う因数分解の公式を使うと、
$$A^2-4A+4=(A-2)^2$$
になりますね。
Aを元の文字式に戻す
最後に置き換えていた文字を元の式に戻したら終了です。
$$(A-2)^2=(2x+1-2)^2=(2x-1)^2$$
置き換えを使って因数分解するときは、だいたい上記のような流れになることを理解しておきましょう。
- 繰り返し出てくる文字式を見つける
- 同じ文字式をAなどに置き換える
- 公式などを使って因数分解をする
- Aを元の文字式に戻す
置き換えのコツ②置き換えする式を上手に見つける
因数分解の置き換え問題で最も重要なのは、「何を置き換えれば因数分解がうまくいくのか」と言う見通しを立てることです。
置き換えする式はどんな式?
一番基本の置き換えパターンは同じ形の文字や式を置き換えるというもの。
$$(2x+1)^2-4(2x+1)+4$$
という式を因数分解する際には「繰り返し出てくる文字や式」に着目します。
この式の中で繰り返し出てくるのは$$2x+1$$という式ですよね。
先ほども解説しましたが、
$$2x+1=Aとおくと、$$
$$(2x+1)^2-4(2x+1)+4=A^2-4A+4$$
$$A^2-4A+4=(A-2)^2$$
$$(A-2)^2=(2x+1-2)^2=(2x-1)^2$$
というわけで、無事因数分解ができました!
$$(2x+1)^2-4(2x+1)+4=(2x-1)^2$$
置き換えする式を上手に見つけるために必要なこと
上記のように、置き換えする式を上手に見つけられるようになりたいのであれば、とにかく問題数をこなすことです。
最初のうちはできなくても、演習していくうちにどんどん見つけるのが早くなりますよ。
3分でできる練習:置き換えする式を発見してみよう
せっかくなので、置き換えする文字式を発見するだけの練習をここでしておきましょう。
以下の式を因数分解する際に置き換えする文字式を答えなさい。
$$(3x-2)^2+6(3x-2)+9$$
例題1の解答(タップで表示)
$$3x-2$$
以下の式を因数分解する際に置き換えする文字式を答えなさい。
$$x^4-10x^2+9$$
例題2の解答(タップで表示)
$$x^2$$
以下の式を因数分解する際に置き換えする文字式を答えなさい。
$$(x^2-2x)^2-11(x^2-2x)+24$$
例題3の解答(タップで表示)
$$x^2-2x$$
置き換えのコツ③置き換えするために同じものを作り出す
パッと見た感じで同じ文字列が発見できれば良いのですが、高校数学になってくるとそうはいきません。
ひと工夫加える必要があり、自分で置き換えするために同じものを作り出す作業が必要になる場合があるのです。
置き換えするために同じものを作り出す
どんなパターンが考えられるのか、まずは例題をみてみましょう。
$$(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)-24$$
この式を見て、あなたはどう考えますか。
パッと見た感じ、同じ形はありませんよね。
ここで式を並べ替えてみましょう。
$$(x+1)(x+4)(x+2)(x+3)-24$$
1と4、2と3を足せば5になります(かなり無理矢理な解釈!)。そこで、
$$\{(x+1)(x+4)\}\{(x+2)(x+3)\}-24$$
として{}内だけ計算を進めます。
$$\{(x^2+5x+4)\}\{(x^2+5x+6)\}-24$$
やっと同じ文字式が出てきましたね。ここで、
$$x^2+5x=A$$
とおけば、
$$(A+4)(A+6)-24=A^2+10A+24-24$$
$$=A^2+10A=A(A+10)$$
$$=(x^2+5x)(x^2+5x+10)$$
$$=x(x+5)(x^2+5x+10)$$
となるのです。
初見で同じものを作り出すのはほぼ不可能
こういった問題を解くと
「いやいや、むずすぎるでしょ!」
「こんなの思いつくわけがない!」
という人がいます。
まさにその通りで、正直この問題に初めて取り組んですぐに思いつく人はごく一部の天才のみです。
つまり、一般的にはテストや受験前にこうした問題を解く経験をどれくらいしてきたか、それが勝負になるのです。
高校数学では「同じような問題を解いたことがある」これ以上に重要なことはありません。
数学はセンス以上に努力と経験が大切なのです。
3分でできる練習:置き換えするために同じものを作り出す作業をしてみよう
初めからゴールまで辿り着くのはちょっと大変です。
ここでは、とりあえず同じものを作り出すところまで頑張ってみましょう。
以下の式を因数分解する際に置き換えする文字式を答えなさい。
$$(x-1)(x-2)(x-3)(x-4)+1$$
例題1の解答(タップで表示)
$${(x-1)(x-4)}{(x-2)(x-3)}+1$$
$$=(x^2-5x+4)(x^2-5x+6)+1$$
よって、
$$A=x^2-5xとおける$$
以下の式を因数分解する際に置き換えする文字式を答えなさい。
$$(x+1)(x+3)(x+5)(x+7)-105$$
例題2の解答(タップで表示)
$$(x+1)(x+3)(x+5)(x+7)-105$$
$$=(x^2+8x+7)(x^2+8x+15)-105$$
よって、
$$A=x^2+8xとおける$$
こうして見てみると、なんとなく置き換え問題も解けそうな気になってきませんか。
同じ傾向の問題を解いておけば、テストで出題されても慌てずに対処ができるはずです。
置き換えのコツ④因数分解の公式をちゃんと暗記しておく
実は置き換えの因数分解で最も重要なのは、そもそも因数分解の公式をちゃんと暗記しておくということです。
「どの公式で解けそうか」という見通しが立たないと、同じ形を見つけにくいですし、なかなか計算が進みません。
まずは中学校で習った公式などを暗記しておくのは基本中の基本です。
因数分解の基本を大切に!
① $ ab+ac=a(b+c) $
② $ x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)$
③ $x^2+2ax+a^2=(x+a)^2$
④ $x^2-2ax+a^2=(x-a)^2$
⑤ $x^2-a^2=(x+a)(x-a)$
因数分解における置き換えで失敗しがちな4つのポイント
最後に、テストなどでケアレスミスにつながりやすいポイントを紹介します。
- 符号が違うのに同じだと勘違いして置き換えをしてしまう
- A(置き換えした文字)を元に戻さないまま計算を終了してしまう
- まだ因数分解できるところがあるのに計算を終了してしまう
- A(置き換えした文字)を元に戻す際に括弧をつけ忘れて計算してしまう
この4つはよくある失敗ポイントなので、気をつけてくださいね。
今回ご紹介したように、因数分解は置き換えのコツを掴めば誰でもすぐにできるようになります。
数時間だけでも真剣に努力すればテストの結果は大きく変わります。
「数学は難しい」「勉強したくない」という日でも、とりあえず机に向かって問題集を開いてみましょう。
今できる少しの努力がきっと未来の自分を助けてくれますよ。
因数分解が難しいのは置き換えだけ問題だけではありません。
難しい因数分解を解くための手法については以下の記事を参考にしてみてくださいね。