「おかしい」「理不尽」と言われるブラック校則も、ついに改定の波が来ています。
そこで今回は、学校の校則を変える方法や実際に校則変更に成功した事例などをご紹介。
なぜ校則は必要なのか、校則の見直しが最近になって活発に目撃されている理由なども合わせて解説していきます。
おかしい?理不尽?ブラック校則とは
学校の校則は、集団生活をおくる中でルールを守ったり規範意識を高めたりするのに必要です。
しかし実際には、納得できる内容もあれば納得できないような内容もあるのが事実です。
よくある校則
例えば中学校や高校では、以下のような校則があるのが一般的です。
- スカートの長さは膝下
- 髪の毛を染めてはいけない
- ピアスやリングなどアクセサリー着用禁止
- メイク禁止
- ツーブロック禁止
- 靴や靴下の色は指定した色のみ限定
- 髪の毛を結ぶリボンやバレッタの着用禁止
- ジャージでの登校禁止
ある程度理解できる項目はあるものの、校則の中には「なぜ禁止?」と思われるものがあるのも確かです。
ブラック校則
校則の中には、正直大人が見ても
「これっておかしくない?」
「理不尽すぎる……」
と納得できない項目があるのも事実。
特に、校則が長年変更されていない場合は今の時代には合っていないと思われる項目もあります。
そういった校則は「ブラック校則」と呼ばれ、たびたびSNSなどで話題となっています。
実際にブラック校則と呼ばれるものにはどんなものがあるのでしょうか。
一覧でまとめてみました。
- 下着の色は白色のみ
- 靴下は白色のみ
- 地毛が茶色でも黒髪に染めなければならない
- 髪の毛を縛るゴムの色は黒色ではいといけない
- ポニーテール禁止
- お団子ヘア禁止
- 運動中の水飲み禁止
- シャープペンシルの使用禁止
- マフラーの使用禁止
- コートは許可制
特に「運動中の水飲み禁止」や「マフラーの使用禁止」など健康に関わる校則についてはかなり問題視されています。
生徒だけでなく、保護者からも校則改定の声はあがるほど。
そんな中、最近ではこうしたブラック校則を改定する動きが全国的に広がっています。
というのも、2022年3月に教師用の生徒指導に関するガイドブックにあたる「生徒指導提要」が約10年ぶりに改訂されたからです。
文部科学省もまさかの校則改定を推奨!
文部科学省によって2022年3月に改定された生徒指導提要では「校則の見直し」についても触れられています。
そこには、校則が「絶えず積極的に見直さなければならない」ことが明記されているのです。
校則の見直し
引用:別添2:校則について(生徒指導提要(平成22年3月文部科学省)より抜粋
○ 学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況は変化するため、校則の内容は、児童生徒の実情、保護者の
考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さ
なければならない。
○ 校則の内容の見直しは、最終的には教育に責任を負う校長の権限であるが、見直しの際には、児童生徒
が話し合う機会を設けたり、PTAにアンケートをしたりするなど、児童生徒や保護者が何らかの形で参加する
例もある。
こうした流れもあり、近年は校則が変えやすい雰囲気になっています。
実際に、ここ数年で校則を変えた学校も多いようですよ。
校則は変えられる!実際の変更事例まとめ
校則は手順を踏めばどの学校でも変えることが可能です。
そこで以下では、実際に校則を変えることに成功した学校を紹介していきます。
兵庫県「市立高丘中学校」
2021年秋頃から生徒会が中心となり、生徒による校則の見直しがおこなわれました。
以下のように多くの校則が変更となっています。
校則変更前 | 変更後 |
---|---|
靴下は白色 | グレー・紺・黒色OK |
靴下はくるぶしが隠れる長さ | 長さは自由 |
髪の毛をくくる高さは耳より下 | 耳より上もOK |
ツーブロックは禁止 | ツーブロックを許可 |
肌着は白色 | 無地で目立たない色ならOK |
岡山県「興陽高校」
興陽高校では、企業139社にアンケートを実施し「校則で禁止されている髪型は本当に企業から抱かれる印象が悪いのか」を調査しました。
実際は、ほとんど悪い印象を与えないことが発覚。
企業と生徒会で交流の場を設け、ヒアリングを行なった上で校則改定へとふみきっています。
校則変更前 | 変更後 |
---|---|
頭髪基準が男女で違う | 男女で基準が統一された |
ツーブロックNG | 基本的にOK(長さの基準あり) |
ポニーテールNG | 高さが頭のてっぺんを越えていなければOK |
お団子ヘアNG | 高さが頭のてっぺんを越えていなければOK |
眉毛は整えてはいけない | 「コンプレックスを隠す」目的であればOK |
色付きの日焼けどめはNG | 色付きの日焼け止めも許可 |
メイクNG | コンプレックスをカバーする自然なものはOK |
広島県「安田女子中学高等学校」
2020年から生徒が主体となって校則を見直し。
2021年4月には、3つの校則が改定となりました。
改定された詳細については不明です。
新潟県「新津工業高校」
2023年度から頭髪服装検査の基準が一部見直されることに。
校則変更前 | 変更後 |
---|---|
ツーブロックの禁止 | 奇抜な髪型は禁止 |
前髪の長さは眉にかからない程度 | 目にかからない程度 |
高知県「宿毛工業高校」
生徒会の働きかけにより、ツーブロックの規定が変更になりました。
校則変更前 | 変更後 |
---|---|
ツーブロックの禁止 | ツーブロックもOK |
高知県「高知南高校」
全校生徒に校則見直しのアンケートを実施。
生徒の要望を生徒会で議論して校則を改定しています。
校則変更前 | 変更後 |
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女子のソックスの色は白色のみ | 男子と同じく白・黒・紺はOK |
膝掛けは許可制 | 自由に使える |
校則を変える方法や手順まとめ
こうした事例から、「本当に校則は変えられる」ということがわかりますよね。
校則を変えたい人のために、
- どんな方法で校則が変えられるのか
- どんな手順で校則を変えられるのか
を以下で解説していきます。
校則を変える方法
校則は、学校運営の責任者である「校長」に制定する権限があります。
しかし実際には、校長が単独で勝手に校則を変えるということはありません。
基本的には、生徒から教員側(校長)へ要望として提案することで校則を変えるのが一般的です。
校則を変えたければ、全校生徒からの意見をまとめて校長へ提案するのが良いでしょう。
校則を変える手順
校則を変えたいのであれば、校則改定に成功した学校を例に以下のような手順が必要となるでしょう。
ほとんどの学校では、やはり生徒会が主体となって校則の改定がおこなわれています。
そのため、校則を変えたいのであれば、自身が生徒会の役員になるか生徒会へ校則の改定を提案することから始まります。
校則の改定は一部生徒のみの考えで行なわれることはありません。
まずは、生徒会を通して全校生徒や保護者に校則に関するアンケート調査を行ないます。
ここでは、変更すべき校則やその理由などを書いてもらい、多くの人の意見を集めます。
学校によっては企業へアンケートやヒアリングを行なった事例もありますが、基本的には校則に直接関わることになる生徒や保護者だけで十分だと考えられます。
アンケートを集計した内容を踏まえ、生徒会で話し合いをおこなった後に校則改定の原案を作成します。
アンケートを取ったからと言って基本的に生徒会で勝手に決定することはできません。
生徒総会などで全校生徒に原案を提案し、意見交換や投票などをおこなうと良いでしょう。
最終的に校則に関する改定案がまとまったら要望として最終決定権を持つ校長へ提案を行ないます。
校長が改定案に対し、受理か却下を行ないます。
受理されれば次年度から校則が改正される可能性が高いでしょう。
また、試験導入ということで、次月から校則を変えてみるといったことも考えられます。
これはあくまでも一例なので、その学校にあった方法で校則の見直しを考えてみてください。
まずは、担任や生徒会の先生などに相談してみるのが良いでしょう。
そもそも校則はなぜ必要?
「そもそも校則なんていらない!」という声も聞こえてきそうですが、校則はなぜ必要なのでしょうか。
学校の校則は、学校内での秩序と安全を保ち、生徒の学習環境を守るために必要です。
以下に、学校の校則が必要な理由を4つ挙げてみました。
- 学校内での秩序と安全の確保
- 学習環境の維持
- 社会的マナーの教育
- 社会のルールを守るため
学校内での秩序と安全の確保
学校の校則は、生徒たちの安全と学習環境の維持を目的としています。
例えば、校則によって制定される制服や身だしなみの規定は、生徒たちを外部の人から区別するためにもなり、不審者の侵入を防ぐことができます。
また、校則によって禁止される行為(たとえば、喫煙や暴力行為など)は、学校内での秩序を守り、生徒たちの安全を確保するために必要です。
学習環境の維持
学校の校則は、学校内での秩序と規律を保つためにも必要です。
例えば、授業中に携帯電話を使用することが禁止されている場合、生徒たちは授業に集中することができ、教師も授業を適切に進めることができます。
社会的マナーの教育
学校の校則は、社会的マナーを身につけるためにも重要です。
校則によって定められる行動規範や身だしなみの規定は、社会でのマナーを身につけるための基礎となります。
生徒たちは学校内での行動を通して、社会での適切な振る舞いを学ぶことができます。
社会のルールを守るため
学校の校則は、社会のルールを守るためにもあります。
生徒たちは学校での行動を通じて、社会のルールや法律に慣れ親しむことができます。
また、校則を守ることは、社会のルールを守ることに直結するため、生徒たちの社会性や責任感を育むことができます。
以上のように、学校の校則は、生徒たちの安全や社会性をはじめとする多様な側面から必要とされるものです。
ただし、適切な校則の制定と運用が求められることもあります。
そのため、生徒たちの個性や考えを尊重しつつ、学校内での秩序やマナーを維持できる範囲で校則の見直しは今後も必要となってくるでしょう。
不満を言っているだけでは現状を何一つ変えることはできません。
校則に違和感を感じるのであれば、この記事を参考に「校則を変える」ことも考えてみてください。