高校を辞めたら人生は終わりなのか、今回はちょっとシリアスなテーマに元高校教師の私が答えます。
高校中退や通信制の高校へ転学することでどのような結果が待ち受けているのか、実体験を元に解説していきます。
教師になる前は「高校を辞めたら人生終わり」だと思っていた
一昔前までは、高校へ進学して卒業するのが当たり前で、それが”普通”とされてきました。
しかし令和となった今、その常識も変わろうとしています。
実は、私自身も教師になる前までは「高校は卒業するもの」だと思っていましたし、担任したクラスの子どもは全員無事に進学して欲しいという考えを持っていました。
「高校を辞めてどうするの?」
「とりあえず高校は卒業しておいた方が良い」
と思ってしまうような頭の固い大人だったのです。
しかし、実際に高校教師になると、高校を退学したり通信制の高校へ転校したりする生徒もおり、それは決して珍しいことではありませんでした。
そして私は教員生活をおくる中で、「高校を辞めたら人生は終わり」という考え方自体が間違っていることに気づいたのです。
「高校辞めたら人生終わり」という考え方は古い
最近の話で言うと、将棋のプロとして有名な「藤井聡太」さんのエピソードが良い例です。
2021年に1月末、藤井聡太さんは高校卒業を目前にして「自主退学」をしたことが話題となりました。
高校3年生の1月と言えば、あと2ヶ月もすれば卒業です。
そのたった2ヶ月を待たずに自主退学をしたということで、驚いた人は多かったのではないでしょうか。
「なぜ今退学する必要があるのか」と首を傾げる大人は一定数いたものの、否定的な意見はほとんどなかったのが印象的でした。
この出来事は「高校は卒業するのが当たり前」と考えていた多くの大人の考えを改めるきっかけになったと言えるでしょう。
もちろん、藤井聡太さんの場合はプロ棋士としてその後も輝かしい実績を残しているわけですが、有名人でなくても高校を辞めるということ自体がそこまで問題にならない時代へ突入しています。
むしろ、何か目的を持って高校を辞めるなら、背中を押してもらえる時代になったのではないでしょうか。
全日制高校から通信高校へ転校する生徒も多い
世間では高校へ入学して卒業することが当たり前のように思われている節がありますが、実際に高校教師をしてみると、それが間違いだったことに気づきます。
中退や転校は珍しいことではなかった
私は高校教師だった頃、担任をしたこともありました。
そして、担任をしていた数年の間には、クラスの生徒が通信高校へ転校した経験もあります。
勤務していた学校では、さまざまな理由で高校を辞めることを決意する生徒がいましたが、基本的に中退ではなく通信高校へ転校という選択を取っていました。
通信高校へ転校した生徒
通信高校の中には、転校から1年くらい経った後で生徒の経過を報告してくれる学校もあります。
私もその報告を実際に受けました。
報告によると、とても楽しく学校生活がおくれているということ。
そしてその報告には、1枚の写真も添えられていました。
そこには、これ以上ないくらいの笑顔で映っている元生徒の姿があったのです。
通信高校への転校が人生を明るくすることも
いつも悩みを抱えているような、不安げな顔をしていた元生徒は、どうやら通信高校へ転校したことで人生が変わり、明るくなったようでした。
私はこの写真や報告を見るまでは、全日制の高校を中退したり通信高校へ転校したりすることは、決して良い選択だとは思っていませんでした。
しかし、全日制の高校で
- 友人関係のトラブルで学校へ行きたくない
- 勉強についていけなくて赤点ばかり
- 髪の毛の色など校則に縛られるのが嫌
といった生徒をたくさん見てきました。
そうした経験の中で、高校を嫌々続ける必要性はないのでは?と思うようになったのです。
通信制の高校なら自由度が高い
通信制の高校は、基本的に毎日学校に通う必要がなく、郵送やパソコン通信などを活用して単位を取得していくスタイルの学校です。
もちろん、なかには登校できる学校もありますし、ほぼ通わなくて済むような学校もあります。
何よりも特徴的なのは、自由度が高いこと。
通信制の高校には厳しい校則がなく、宿題におわれることもなくなります。
生徒の中には「全日制の高校が合わない」という人もいるでしょう。
しかしそれは、生徒が悪いわけではありません。
全日制が合っている人もいれば、通信制の方が合っているという人がいるのは当たり前のことなのです。
そのため、「全日制の高校を辞めたい」と思ったときには、通信制の高校へ転校してみるというのを考えてみても良いでしょう。
通信制高校で得られる「高卒資格」は全日制高校とまったく同じ
全日制の高校と通信制の高校は、勉強スタイルが違えども、実は最終的な結果(最終学歴)はまったく同じになります。
通信制でも全日制でも最終学歴は「高卒」
意外と知らない人も多いですが、通信制の高校で得られる「高卒資格」は、全日制の高校で得られる高卒資格とまったく同じです。
そのため、通信制高校で高卒資格を取得した場合、学歴は「高卒」となります。
つまり、全日制の高校を卒業しても通信制の高校を卒業しても、高卒という経歴は変わらないのです。
通信制でも全日制でも
最終学歴は「高卒」になる
ただ卒業した学校が違うという、それだけのことです。
全日制の高校へ通うとなると、通学の面で選択肢は少なくなりますが、通信制の高校選びならより選択肢は広がります。
私個人の考えではありますが、
- 今の学校を辞めたい
- 学校に行きたくない
- でも高校中退や中卒だと困る
と考えている人は、通信制の高校へ転校することを考えてみても良いかも知れませんよ。
決して、全日制の高校を卒業することだけがすべてではないのです。
「高校を辞めたら人生終わりは嘘」
だと元教師の私が断言しておきます。
高校中退だと最終学歴経は「中卒」になる
通信制の高校などへ転校せず、ただ高校を中退した場合には最終学歴が「中卒」になります。
そのため、最終学歴を気にするのであれば、通信制の高校への転校という選択がおすすめです。
高校中退だと人生は不利になる?
高校中退や中卒というのは、世間一般的に「人生で不利になる」という意見もあります。
しかし、中卒にはデメリットがある一方でメリットがあることも知っておかなければいけません。
中卒のデメリット
中卒の場合には、以下のようなデメリットが考えられます。
- 高卒や大卒に比べて就職先の選択肢が狭くなる
- 管理職などの高いポジションに就くことは難しい
- 同じ時間働いても給料が高卒や大卒の人より低い
- 転職先を見つけにくい
- 偏見を持たれたり見下されたりする
しかし、中卒だからといって、マイナスなことばかりではありません。
中卒のメリット
中卒には、以下のようなメリットもあるのです。
- 大卒や高卒の人よりも早く稼ぐ力が身につく
- 実務経験をたくさん積むことができる
- 企業によっては教育助成制度があり、就職後に資格などを取ることもできる
- 社会人としての意識を早く身につけることができる
- 企業によっては中卒者の採用が優遇されることもある
- 収入が安定していれば20代で家を建てたり結婚したりしやすい
このように、中卒だからといって、人生が不利になるとは言い切れないのです。
もちろん、高卒や大卒の人が優遇される場面もあるでしょう。
しかし、中卒の人が優遇される場面もあります。
「高校を辞めたら人生終わり」
という意見は、ただ単に高卒や大卒の人が中卒の人を見下している言葉に過ぎません。
自由な働き方や学び方が求められている今の時代、こんな考えは古いしダサいのです。
高校を辞めても人生は終わらない
結局、中卒でも高卒でも大卒でも、人生が良くなるか悪くなるかは自分次第。
例えば大卒でブラック企業へ入り、毎日サービス残業をして心身共にボロボロになってしまう人もいます。
大切なのは、自分が今何をしたいか、将来何をしたいかです。
高校を辞めたその先にあるのは「別の未来」
高校へ入学する、3年間勉強して高校を卒業するという選択も良いでしょう。
しかし、高校を辞めるという選択肢があっても良いのです。
高校を辞めたからといって人生は終わりません。
また別の扉が開き、別の未来(可能性)が広がるだけです。
その先を決めるのは自分の行動次第です。
「高校を辞めたら何をするか」
その結果で人生がまた大きく動き出すでしょう。
人生が終わるのは何もやらずに諦めたとき
つまり、高校を辞めたら人生が終わりなのではなく、「高校を辞めてその後何もしないから人生が終わっていく」のです。
そのため、高校を辞めるのであれば、辞める前に人生設計をしっかり考えるべきです。
そこで考えなければ、人生が悪い方向へ行ってしまってもしょうがないでしょう。
ただし「今は何も考えられない」という人も中にはいると思います。
そんな人は、とりあえず通信制の高校へ転学するということをおすすめします。
その先で、卒業まで続けるのか、中退するのかをゆっくり考えてみるのもまた選択肢の一つです。